相続対策としてよく聞く「遺言」と「死因贈与」。
どちらも「亡くなった後に財産を渡す方法」ですが、法律上の仕組みや税金の扱いなどに大きな違いがあります。
この記事では、遺言と死因贈与の違いについて、司法書士の視点からわかりやすく解説します。
遺言とは
遺言とは、自分が亡くなった後に財産をどのように分けるかを決める意思表示です。
例えば
・自宅は長男に相続させる
・預金は配偶者に相続させる
・お世話になった人へ財産を遺贈する
といった内容を決めることができます。
遺言の大きな特徴は、相手の同意がなくても作成できることです。また、遺言は自分で何度でも書き直す(前の遺言を撤回し、新たな遺言をのこす)ことができるため、生前対策としてもよく利用されている方法です。(※公正証書の場合、書き直し(撤回および新たな遺言)には費用がかかります)
死因贈与とは
死因贈与とは、
「私が亡くなったらこの財産をあげます」
「わかりました」
というように、当事者同士の契約によって成立する贈与です。贈与する人が亡くなったときに、契約の効力が発生します。遺言と似ているように思われますが、死因贈与は契約であるという点が大きな違いです。
そのため、相手の同意がなければ成立しません。撤回は原則自由ではありますが、負担付の贈与にした場合など、場合によっては撤回が困難になる場合もあります。
遺言と死因贈与の大きな違い
遺言と死因贈与には、次のような違いがあります。
遺言
☑ 単独で作成できる
☑ 相手の同意が不要
☑ 何度でも自由に撤回できる
死因贈与
☑ 契約である
☑ 相手の同意が必要
☑ 内容によっては簡単に撤回できない場合がある(負担付贈与など)
このように、遺言は柔軟に変更できるのに対し、死因贈与は契約としての性質が強い制度です。
不動産の場合の実務上の違い
不動産を対象とする場合、遺言と死因贈与には実務上の違いがあります。
死因贈与の場合は、
「仮登記」
をすることが可能です。
これは、将来その不動産を取得する権利をあらかじめ登記で保全しておく制度です。一方で、遺言の場合はこのような仮登記をすることはできません。
税金の違い
不動産を取得する場合、名義変更(登記)にかかる税金の扱いも異なります。
遺言
・登録免許税
相続人に対する遺贈 :固定資産税評価額 × 0.4%
相続人以外に対する遺贈:固定資産税評価額 × 2%
死因贈与
・登録免許税
固定資産税評価額 × 2%
また、不動産取得税にも違いが生じる場合があります。
遺留分について
遺言でも死因贈与でも、遺留分の制度は適用されます。遺留分とは、配偶者や子など一定の相続人に認められた最低限の取り分のことです。そのため、特定の人にすべての財産を渡す内容にした場合、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
遺言書を作成する際に、遺留分の確認は欠かせません。遺留分がいくらになるのか?についても、弊所では司法書士によって算定をさせていただきます。
まとめ
遺言と死因贈与は、どちらも亡くなった後に財産を渡す制度ですが、仕組みや税金の扱いに違いがあります。
生前対策は、家族構成や財産の内容によって適切な方法が変わります。相続や遺言についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

