死因贈与契約の「仮登記」とは?権利を守るための登記制度を司法書士が解説

終活や相続対策の中で、「この不動産は特定の人に渡したい」と考える方も多いと思います。
その方法の一つに 死因贈与契約 があります。そして、不動産の死因贈与では 仮登記 を利用するケースがあります。

今回は、
・仮登記とは何か
・死因贈与契約で仮登記をする理由
について、司法書士の視点から解説します。


そもそも仮登記とは?

仮登記とは、将来行う本登記の順位を確保するための登記です。不動産の権利関係は、登記をすることで第三者に対して主張することができます。そして、不動産登記では 登記の順番(順位) がとても重要です。

一般的に、同じ不動産について複数の権利が主張された場合は
先に登記をした人が優先されるという原則があります。

しかし、まだ本登記ができない事情がある場合もあります。そのような場合に利用されるのが 仮登記 です。仮登記をしておくことで、後日、本登記を行った際に 仮登記の順位を引き継ぐ(順位保全効) という効果があります。


死因贈与契約とは?

死因贈与契約とは、「自分が亡くなったら、この財産をあなたにあげます」という内容の契約です。遺言と似ていますが、一番大きな違いは次の点です。

遺言
→ 本人の一方的な意思表示
死因贈与
→ 贈与者と受贈者の合意による契約

つまり、死因贈与は 契約であるため受贈者の同意が必要 になります。詳しくは、前の記事(遺言と死因贈与の違いとは?相続対策で知っておきたいポイントを司法書士が解説)をご覧ください。


死因贈与では仮登記ができる

死因贈与契約では、契約内容にもよりますが、原則、その不動産について始期付所有権移転仮登記を行うことができます。※不動産の権利状況により、名前が異なります。

これは「贈与者が死亡したときに所有権が移転する」という条件付きの権利を、あらかじめ登記簿に記録しておくものです。


なぜ仮登記をしておくのか?

死因贈与契約をしていても、登記をしていない場合には次のような問題が起きる可能性があります。
例えば、

・贈与者がその不動産を第三者に売却した
・不動産に抵当権が設定された
・相続人が不動産を処分した

このような場合、受贈者は不動産を取得できなくなる可能性があります。そこで、契約時に仮登記をしておくことで将来の所有権移転の順位を確保するという効果を持たせることができます。


仮登記の注意点

ただし、仮登記は 完全な権利を取得する登記ではありません。また、死因贈与契約は原則として撤回可能とされています。そのため、不動産の死因贈与を検討する場合には、

・契約書の内容
・登記の方法
・相続との関係

などを慎重に検討する必要があります。


まとめ

仮登記とは、将来行う本登記の順位を確保するための登記制度です。死因贈与契約では、贈与者の死亡によって所有権が移転するため、契約時に 始期付所有権移転仮登記 をしておくことで、将来の権利を保全することがあります。ただし、仮登記は完全な権利ではなく、契約内容や相続関係によってはトラブルになる可能性もあります。

不動産を特定の人に確実に引き継ぎたい場合には、
・遺言
・死因贈与
・家族信託
など複数の方法を比較して検討すること、そして死因贈与契約の際には、仮登記を行うことを前提に、どういった契約内容が望ましいのかを慎重に検討することが大切です。

不動産の終活や相続対策でお悩みの方は、お気軽にご相談ください🍀

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